快適な住まいを実現するために、何を重視しますか？
是非とも重視してもらいたい性能の一つが断熱性能です。
断熱性能を高めることで省エネな暮らしを実現できますし、健康で快適な暮らしも実現可能です。

今回は、快適な住まいを実現するための鍵となる断熱性の評価基準の１つである「HEAT20のG2基準」について、詳しく見ていきましょう。

G2基準とは何か

G2基準の定義と概要

HEAT20とは、『一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会』が提唱する、住宅の断熱性能に関する基準です。
G1、G2、G3の3つのグレードがあり、G2はG1よりも高い断熱性能を有しています。
数値で表す場合はUA値（外皮平均熱貫流率）を用い、地域区分ごとに基準が設定されています。
G2基準は、冬期の最低室温を確保することを重視しており、快適な室内環境の実現を目指しています。

具体的に言うと、冬季の最低体感温度が13℃を下回らない性能レベルが基準になっています（北海道などの１・２地域では15℃を下回らない基準設定がされています） 。
元々は、国の定める断熱等性能等級では、全館空調を採用して快適な暮らしを行うためには性能が全然足りない、ということで、問題提起のためにHEAT20がG1～G3という独自の基準を設けたものです。
現在では国がそのHEAT20の基準を参考に、断熱等性能等級の上位等級である等級6（G2相当）、等級7（G3相当）を創設し、国の省エネ住宅政策が大きく進展しました。
非常に大きな役割を果たしたといえるでしょう。

3つのグレードの比較

3つのグレードは、冬期の最低室温と省エネルギー性能で比較できます。
G1（断熱等級5と6の間くらい）は、初期費用を抑えつつ、ある程度の省エネ性能と快適性が得られるのが特徴です。

G2（断熱等級6相当）は、さらに高い断熱性能により快適な室温を確保します。
エアコンによる24時間全館空調をおこなっても電気代が従来より住まいより抑えられます。
浴室やトイレを含めた家全体を暖房可能ですので、ヒートショックのリスク軽減にも繋がります。

G3（断熱等級7相当）は、現在定められている他の断熱性基準も含めて最も高い断熱性能を誇ります。
初期費用は掛かっても良いから、新築後の冷暖房費は極限まで削減したい、という方にとっては最適です。
最高レベルの快適性と省エネ性を両立できます。

それぞれのグレードは、地域区分（日本は8つの地域に区分）によってUA値が異なり、環境が厳しい地域になるほどより厳しい条件が設定されています。

基準適合のメリット

HEAT20のG2基準に適合する住宅には、多くのメリットがあります。
まず、省エネ効果による光熱費削減が期待できます。
高い断熱性能により、冷暖房機器の負担が軽減され、経済的なメリットが大きいです。
さらに、快適な室温を維持することで、健康面への良い影響も期待できます。
24時間全館空調をおこなっても電気代が安価に抑えられます。
温度差によるヒートショックのリスクを低減し、一年を通して快適に過ごせる空間が実現します。
これは、特に高齢者世帯にとって大きなメリットとなります。

快適な住まいを実現する断熱性能

省エネルギー効果と光熱費削減

HEAT20のG2基準を満たす住宅は、省エネルギー性能に優れています。
これは、建物の外皮（屋根、壁、窓など）からの熱の逃げを最小限に抑えることで実現されます。
結果として、冷暖房にかかるエネルギーを大幅に削減でき、光熱費を節約できます。
その削減率は、従来の省エネ基準と比較して30%～50％にも及びます。
これは、家計への負担を軽減するだけでなく、環境保護にも貢献します。
電気代は今後も年間3%の上昇率で値上げしていくことが見込まれています。
将来、電気代が払えず家が寒くて・暑くて不快…ということにならないためにも、最低でもG2グレードを採用して快適な住まいにしていきたいものです。

快適な室温と健康への影響

高い断熱性能は、室温の安定性を高めます。
室温が一定に保たれることで、冬場の寒さや夏場の暑さによる不快感を軽減し、快適な室内環境を実現できます。
特に、冬季の室温の大きな変化はヒートショックのリスクを高めるため、各室温の安定性は健康維持に非常に重要です。
低い断熱性能で全館空調をしてしまえば電気代がとんでもないことになります。
家全体を暖めるには断熱性を高める必要があるのです。

住宅選びにおける断熱性能の重要性

住宅を選ぶ際には、断熱性能を重視することが大切です。
断熱性能の低い住宅は、冬は暖房費、夏は冷房費が高くつきます。
また、結露によるカビの発生リスクも高まり、健康被害にも繋がる可能性があります。
HEAT20のG2基準は、快適性、省エネ性、健康面を考慮した理想的な断熱性能を示しています。

ちなみに、山形県独自の基準である「やまがた省エネ健康住宅基準」においても、断熱性能の推奨基準が定められています。
4地域においてHEAT20のG2はやまがた省エネ健康住宅Y-G2と同じ基準となります。
山形県ではこの省エネ健康住宅に認定されることで補助金を支給する制度も設けています。
快適で健康的な暮らしを実現するためには、工務店・ハウスメーカーの断熱性能をしっかりと確認し、HEAT20のG2基準以上の断熱性能をもつ住宅を建てることをおすすめします。

まとめ

HEAT20のG2基準＝国の断熱等級6は、快適な住まいを実現するための重要な指標です。
高い断熱性能により、省エネルギー効果による光熱費削減、快適な室温維持による健康増進、そして結露の抑制など、多くのメリットがあります。
新築住宅の建築を検討する際には、G2基準・断熱等級6を満たせるかどうかを必ず確認し、長期的な視点で快適で経済的な住まいを選びましょう。
G2基準・断熱等級6は、快適性と省エネ性のバランスが良く、多くの家庭にとって最適な選択肢と言えるでしょう。

また、現在はGX志向型住宅に対して160万円の補助金を支給する制度が国で始まっています。
GX志向型住宅の条件のひとつに断熱等級6以上であることが含まれていますので、国も積極的に断熱等級6・G2基準を勧めていきたいという考えであることが分かります。
将来の光熱費の高騰や地球温暖化問題への対策としても、非常に有効な手段です。
賢い住宅選びで、快適で健康的な生活を実現しましょう。

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