蒸し暑い季節が刻々と近づいてきましたが、室内の暑さ対策は万全でしょうか?
暑すぎる室内は人体に悪影響を及ぼします。
猛暑日に家の中で熱中症になるなどのニュースがここ数年で増えてきています。
電気代がもったいないと言ってエアコン冷房をむやみに控えると、生命に関わることもありますから、我慢しすぎないように注意が必要ですよ!
日本の夏は「蒸し暑い」のが特徴。気温の高さもそうなのですが、「多湿」であることが夏場の環境をより過酷にしています。
私たちの体は暑いと汗をかき、その汗の水分が蒸発するときに熱を奪い去ってくれることによって体温を調節します。ですが湿度が高すぎると汗をかいてもその水分が蒸発しにくくなり、蒸発しなければ熱を奪い去ってくれないため、体内に熱がどんどんこもってしまいます。その結果が熱中症につながってしまうわけです・・・
他にも、多湿な環境は、むくみがとれにくくなったり、自律神経を乱すなど、色んな問題を引き起こします。
湿度の高さは「家」そのものにも悪影響を及ぼします。カビやダニの発生を助長するなどはイメージしやすいですが、特に防湿シートの施工が甘い場合は「壁の中」に湿気がどんどん入り込み、断熱材を濡らしたり柱などの木質構造部材を劣化させたりと、大きな影響を与えうるのです。
蒸し暑い夏を乗り越えるのに必要なのは、しっかりと「除湿」すること。湿度管理は、快適な室内環境を維持し、建物自体の寿命を長く延ばすのに非常に重要なこと。
そして湿度管理をおこなうためにもっとも有用なのは「エアコン」です!!!
ということで、今回はエアコンの「除湿機能」に関して、どのようなもがあり、どんな作用をするのかをご紹介できればと思います。
「弱冷房除湿」と「再熱除湿」
エアコンの除湿機能には大きく分けて「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があります。
それぞれに以下のようなメリット・デメリットがあります。
<弱冷房除湿>
湿度を目標の値まで下げるために微弱な冷房運転を続けます。
◼︎メリット
・消費電力が少なくて済むため、「再熱除湿」より電気料金が安い
◼︎デメリット
・除湿のために温度を下げた空気をそのまま部屋に戻すことから、肌寒く感じやすい
・梅雨時などの低温高湿状態の場合、室温設定が外気温より高い状態では冷房運転ができず、除湿ができない
<再熱除湿>
室内機の中で部屋の空気を一旦冷やして除湿し、下がり過ぎた空気を温めて室内に戻しています。
◼︎メリット
・弱冷房除湿より除湿性能が高い
・空気を冷やしすぎないため肌寒さを感じにくい
・梅雨時など低温多湿の状態でも問題なく稼働する
◼︎デメリット
・消費電力は「弱冷房除湿」よりも大きく、電気料金が高い
エアコンは再熱除湿がおすすめ!
高気密高断熱な家において、設置するエアコンは「再熱除湿」ができるものをおすすめしています。
理由としては、先述の通り「除湿の効果が断然高い」「室温を下げずに除湿できる」ということが言えます。
また、近年は洗濯物を室内干しにする方法が多くとられていますが、「再熱除湿」は室温を下げずに除湿をしてくれるため室内干しも乾きやすいんです。
前述の通り、湿度が低ければ人が過ごしやすいのは当然として、家にカビが発生しにくいという利点もあります。
カビ臭さは家の寿命を縮めることになりますので、湿度を低く抑えられれば家の寿命を延ばせるということが言えます。
弱冷房除湿より電気代がかかるのが難点ではありますが、家族の健康と家の耐久性向上が得られることを考えれば、その難点を補ってあまりある効果が望めると考えております。
当社のモデルハウスでも、床下エアコン・2階ホールエアコンともに再熱除湿機能のあるエアコンを採用しております。
特に新築1~2年目は、基礎のコンクリートからの水分放出量がまだまだ多いため、床下エアコンの再熱除湿機能は非常に有用となっています。
床下の湿気はしっかり取らないと簡単にカビにつながりますので、そういった点でも床下エアコンは理にかなっていますね。
特に梅雨時などは床下の湿度が上がりやすいですが、再熱除湿のおかげで簡単に湿度50%以下をキープできております。
高気密高断熱の家は、冬に暖かくするのも夏に涼しくするのも簡単ですが、「梅雨時の湿度を下げるのが難しい」という声が、他の工務店さんからも良く聞かれます。
再熱除湿のエアコンを使用すればその悩みも解決しやすいので、うまく利用することがお勧めです。
「再熱除湿」の効果がしっかりと発揮されるにはお家の「気密性」が大きく関わってきます。気密性の低いお家などは、隙間から湿度の高い外気が家の中に入り放題ですから、せっかく再熱除湿エアコンを利用してもただただ電気代が余計にかかるばかりで、不向きかもしれません。
快適な湿度とは?
室温や湿度は1日の中でも変化があり、天気によっては大きな変動があります。
しかし、極端な乾燥や湿気は人や家そのものに悪影響を及ぼす可能性があります。なので「丁度いい湿度」に屋内を保つことが人や家の健康を守ることにつながるのです。
では、快適に過ごせる湿度などのぐらいかというと、大体40〜60%が最適な目安となります。
下の画像のように、乾燥しすぎているとウイルスなどが活性化し身体に害を及ぼすと言われますし、湿度が高すぎるとカビが発生したり結露で濡れるなど、人にも建物にも害を及ぼします。
人にも家にも快適な空調にするのが長く健康に生活ために大事なことだと言えますね!
梅雨の時期などは湿度が高くなる傾向にあるので、エアコンの再熱除湿運転を利用して50%前後の湿度にキープすることをおすすめします。
空調設備は換気システムも大事!!
除湿による温度調整は大事ですが、居心地の良い空間をつくるには「換気」も大事です。
換気が十分でないと空気中の有害な物質の濃度が上がり、空気が澱んでしまいます。空気がよい状態にするには、新鮮な空気を循環させて、有害物質の濃度を薄める必要があります!
しかしながら、ただ単に窓を開け換気をしてしまうと、夏なら熱と湿気を室内に取り込むことになり、せっかく下げた室温と湿度の両方を上げてしまうことになります。
そこでご紹介したいのが、全熱交換型第1種換気システム(給気・排気を機械で行う)の換気扇です!!
この換気扇は、換気の際に捨てられてしまう室内の暖かさや涼しさを再利用(熱回収)しながら換気します。顕熱(温度)だけでなく潜熱(湿度)も交換・再利用してくれるため、「全熱交換型」と呼ばれています。これにより、夏期・冬期における冷暖房負荷を低減してくれるのはもちろん、低湿度環境を簡単に維持しやすくなる超メリットがあるのです。
(参照:https://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/ja/air/products/ventilationfan/jfan/advantage_02.html)
弊社のCoRoDo.モデルハウスでは三菱電機の「J-ファンロスナイ ミニ」という商品を使用しているのですが、エアコンと併用して運転することで、夏も冬も快適な空間を維持することができております。
実際に夏場の温度&湿度の検証をした記事をアップしてますので、以下も確認してみてください!
→朝日町「CoRoDo.」モデルハウスの超高気密高断熱な家の本領発揮
昔の日本家屋は、あえて家に隙間を作り自然通風によって室内の空気を循環させるような作りがされていました。しかし、昨今の日本の気候は人体に害を与えるほど異常なものとなっています。特に夏場の自然通風は逆に室内の温湿度を上昇させることになり、熱中症などを引き起こしてしまいます・・・。
「自然の風だけで涼しく過ごす」と言えば聞こえは良いですが、人にも家にも良くないことをしてしまっている可能性がありますので、充分に気を付けていただきたいですね。
人を守ってくれるはずの家が、人に害を与えるようでは本末転倒です。これから新築をお考えの皆様には、ぜひ「家族の健康を守る家づくり」をご検討いただければと思います。
YouTubeでも、床下エアコンについて含め家づくりのポイントをご紹介しています!
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