さて話を戻すと、今後のやまがた健康住宅基準は、
レベルⅢ(★)はG1と同等、
レベルⅡ(★★)はG2と同等、
レベルⅠ(★★★)はG3と同等。
というように規定されることになりました。
ここからはあくまで当社の心情ということで述べますが・・・
G3と同等の基準がやまがた健康住宅基準でも設定されたということ自体は非常に良いことであると思いますが、一方で旧・レベルⅠ(★★★)の基準値が廃止され、なくなってしまうというのは寂しい思いもあります。
というのも、下記の表をご覧になってお分かりの通り、G2とG3、レベルⅡ(★★)と新・レベルⅠ(★★★)との間の壁が、あまりにも大きくなってしまうからです。
大して変わらないのでは?と思われる方も多いかと思いますが、建築実務者であれば共感いただけるのではないかと思います。
Ua値は、一定の数値まで下げると、更にそこから下げるには非常に大きな費用増額が必要となります。
たとえば4地域において、
G1基準0.46をG2基準0.34に下げると、Ua値の差は0.12となります。
G2基準0.34をG3基準0.23に下げると、Ua値の差は0.11となります。
Ua値の下げ幅は両者とも同じくらいですが、実は掛かり増し費用は雲泥の差なのです。
あくまで概算ですが、前者はせいぜい十数万円くらいの掛かり増しにしかならない一方で、後者は150万円が見えてくるくらいの掛かり増しとなります。
なかなか思い切れる金額ではなくなってくるわけです。
そこでいうと、やまがた健康住宅の旧・レベルⅠ(★★★)の0.28であればG2基準0.34からおよそ70~80万円程度の掛かり増しとなり、ちょっとがんばれば何とか採用できる「ちょうど良い」指標となるわけです。
そういった意味では、旧・レベルⅠ(★★★)の基準値をまったく無くしてしまうのは少し寂しい気持ちがやはりあります。
例えばですけど、レベルⅠ(★★★)はそのまま残したうえで、更に上位の「レベル0(★★★★)」を新たに創設してG3基準と合わせる、ということも考えられたのではなかったでしょうか。
改定前に旧・レベルⅠ(★★★)基準で建築された方々もいらっしゃり、それらの家々がまるでレベルⅡ(★★)基準に降格されてしまったような印象も受けてしまうわけですし・・・
(実際の住み心地は健康・快適なままでまったく変わらないわけですので、気にされる方はまずいらっしゃらないでしょうけどね)
ということで、
県のやまがた健康住宅基準からは今後なくなってしまうのでしょうけど、当社の指標としては、「旧・レベルⅠ(★★★)」基準といった形で残しておこうと考えております。
「とにかく上へ上へと目指していきましょう」という姿勢ももちろん重要ですが、実際問題として施主様のご予算は有限です。
「現実的に手が届きやすい基準も用意して、ご予算に応じてお勧めする」というのも、お客様目線に立ったご提案として重要なのではないかと思う次第です。