雪国での家づくり。
快適な暮らしを実現するために何が必要でしょうか?
厳しい寒さや大雪、冬場の結露… これらの厳しい冬季の気候条件では、住宅には高い性能が求められます。
特に重要なのが、住宅の断熱性能です。
今回は、雪国における高断熱住宅の重要性と、その性能を最大限に活かすためのポイントを改めて解説します。
雪国の住宅における高断熱性能の重要性
厳しい寒さから家を守る断熱材と工法の選び方
冬の雪国では、外気温が氷点下になる日が多く、住宅の断熱性能が快適な暮らしに直結します。
断熱材は、住宅から外へ逃げる熱を遮断する重要な役割を担います。
断熱材の種類はさまざまで、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、フェノールフォーム、発泡ウレタンなどがあります。
それぞれの断熱性能や特徴、価格などを比較検討し、家の構造や予算、施工方法に合った断熱材を選ぶことが大切です。
また、断熱材だけでなく断熱工法も重要です。
寒冷地である山形県において、快適な生活を実現するには高い断熱性能が必要となります。
近年生まれた新しい省エネ住宅区分に「GX志向型住宅」というものがあり、2025年はこの認定を受けた住宅には160万円の補助金が支給されます。
GX志向型住宅の認定を受けるためには断熱等級6以上が必要となりますが、山形県で等級6以上を達成しようと思えば、従来の充填断熱だけでは性能が不足することがあります。
充填断熱に加えて、外張り付加断熱の工法を採用していく必要があるということです。
窓の種類と性能は結露対策も重要
窓は住宅の熱の出入りが最も激しい部分のため、高断熱住宅ではその性能も非常に重要になります。
ペアガラスやトリプルガラスの窓は、複数枚のガラス間に空気層を設け、アルゴンガスなどのガスを封入することで断熱性能を高めています。
また、サッシの材質や構造も断熱性能に影響するため、注意が必要です。
雪国では、冬季における窓の結露も大きな問題となります。
結露は、カビやダニの発生につながるため、結露対策は必須です。
ただ、雪国では開放式の石油ヒーターなど、室内に湿気を放出する暖房器具を使用することが多い傾向があります。
そのうえ室内の熱を逃さないよう、窓を閉め切ったままにすることも多いようです。
そういった器具を使用するとあっという間に窓ガラスの室内側表面は結露だらけになります。
石油ヒーターを使用せず、エアコンだけで充分な暖房が実現できる住宅が求められています。
高気密化による快適性向上と省エネルギー効果
高気密化とは、住宅の隙間を極力少なくすることです。
隙間を少なくすることで、室内の熱を逃がしづらくし、外気の侵入を防ぎ、室内の温度を安定させることができます。
高気密化は、高断熱化と組み合わせることでよりその性能を引き出すことができます。
冷暖房効率が高まり、光熱費の削減にも繋がります。
高気密化を実現するためには、適切な施工技術が不可欠なので、施工に慣れた工務店に任せるのが一番安心です。
もちろん、「うちは高気密だよ」と口で言っているだけではダメで、しっかり現場ごとに気密測定をおこない、良好な結果を残していることが最低条件です。
良好な結果とは具体的には、最低でもC値0.5以下を継続的に出せていることです。
雪国住宅の断熱性能と光熱費の関係
住宅の断熱性能が低いと、冬は暖房、夏は冷房にかかる費用が高くなります。
雪国では特に冬場の暖房費用が大きな負担となるため、光熱費を大きく削減させるためにも、ぜひ高断熱住宅を選択いただきたいと思います。
高断熱住宅は、初期費用が高くなる可能性がありますが、長期的な視点で見れば、光熱費などのライフサイクルコストの削減になるため、メリットは大きいです。

雪国住宅の高断熱性能を最大限に活かすためのポイント
建築時の注意点
高断熱住宅を建てる際には、設計段階から施工まで、細心の注意を払う必要があります。
断熱材の施工不良は、実質的な断熱性能を著しく低下させる原因となります。
特に、断熱施工の内容は完成後に見えなくなる部分であり、後からやり直すのが難しい施工箇所です。
口コミや施工事例も含め、熟練した技術を持つ施工会社を選ぶことが重要です。
ライフスタイルに合わせた設計
高断熱住宅の設計は、窓の設計にも注意が必要です。
例えば、「南向きの窓を大きくすることで日射熱を取り込み、暖房負荷を軽減することができる」というのが、よく語られる定説です。
一方で、24時間全館空調をおこなう場合は、冬でも晴れた日の南からの直達日射による熱がオーバーヒートを引き起こし、暑さを感じさせてしまうこともあるため、注意が必要です。

まとめ
雪国での住宅建築において、高断熱性能は快適な暮らしと省エネルギーを実現するために不可欠です。
断熱材や窓の種類、気密性、そして適切な施工など、さまざまな要素が総合的に考慮される必要があります。
高断熱住宅は、初期投資は大きいかもしれませんが、長期的な視点で見れば、光熱費削減や快適な暮らしという大きなメリットをもたらします。
雪国での快適な生活を実現するために、高断熱住宅の選択は賢明な選択と言えるでしょう。