ブローイング断熱とは、断熱材を空気を用いて吹き付けて充填する工法です。
その高い施工性と断熱性能から、住宅性能にこだわりを持つ工務店・ハウスメーカーから支持を得ています。
今回は、ブローイング断熱の仕組みや特徴、メリット・デメリットを解説し、他の断熱方法との比較を通して、その全体像をご紹介します。
ブローイング断熱とは何か？ その仕組みと特徴
ブローイング断熱の原理と工程
ブローイング断熱は、圧送機を用いて断熱材を空気で圧送し、吹き付ける工法です。
一般的にはグラスウールやセルロースファイバーなどの繊維状断熱材が使用されます。
まず、施工箇所にホースを挿入し、圧送機から断熱材を送り出して隙間なく充填。
均一な断熱層を形成できるため、複雑な形状にも対応可能で、施工性の高さが特徴です。
通常は天井断熱や屋根断熱に使用されますが、後述のセルロースファイバーの場合は壁の充填断熱にも使用されます。
使用する断熱材の種類と特性
ブローイング断熱に使用される断熱材は、主にグラスウールもしくはセルロースファイバーです。
グラスウールはガラスを原料とした繊維状の断熱材で、優れた断熱性と吸音性を持ち、不燃性も兼ね備えます。
他の断熱材と比較して、軽量で施工が容易なことも特徴です。
材料費が安価なため、ブローイングの断熱材としてはよく使われる素材です。
一方のセルロースファイバーは、古新聞紙などの繊維をほぐして綿状にした断熱材。
紙由来と聞くと燃えやすいのではと思われるかもしれませんが、難燃処理が施されていることから、炭化していくだけで燃えることはないようです。
また、ホウ酸系薬品によって防カビ処理もされており、シロアリやゴキブリなどからも守ってくれると言われています。
グラスウールよりも施工費が高いのが難点です。
他の断熱方法との比較
ブローイング断熱は、従来のマット状の断熱材を敷き詰める工法と比べ、隙間なく施工できる点が優れています。
完成後の住宅しか見たことのない方にはわかりづらいかもしれませんが、住宅の天井裏は非常に入り組んでいます。
大小さまざまな梁材、天井下地となる野縁や野縁受け、電気配線等が複雑な天井裏を形成しており、それらを綺麗に受けてマット状の断熱材をしっかりと敷き詰めるのは、至難の業です。
どうしても隙間だらけになってしまうのです。
ブローイングであれば細かい断熱材の繊維がうまく隙間に入り込んでくれて、複雑な空間にも容易に対応できるため、施工性が非常に高いと言えます。
ただし、施工には専用の機械が必要となるため、自社施工しようと思うと初期投資が課題となります。
ブローイング断熱のメリットとデメリット
ブローイング断熱のメリット
・施工スピードが速い
・複雑な形状にも対応できる高い施工性
・隙間なく施工できるため、高い断熱性能を確保できる
・断熱材の厚さを自由に調整できる
・廃棄物が少なく、環境に配慮できる
ブローイング断熱のデメリット
・専用の機械が必要なため、自社施工しようと思うと初期投資が必要
・施工には熟練した技術が必要
・一般的には外注するが、非常に多忙で日程調整が困難。工程に悪影響を与えることも
ブローイング断熱が適する家と注意点
ブローイング断熱は、新築・リフォーム問わず、高断熱を必要とするあらゆる現場に適しています。
一方、既存の断熱材の撤去が必要な場合、コストが高くなる可能性があります。
ブローイング断熱の施工には、専門的な知識と技術を持つ会社を選ぶことが重要です。
事前に使用する断熱材の特性についても確認しておくと良いでしょう。
まとめ
ブローイング断熱工法は、その高い施工性と断熱性能からお勧めの工法です。
グラスウール等の断熱材を吹き込むことで、複雑な形状にも対応でき、迅速かつ均一な断熱層を形成します。
しかし、専用の機械が必要であったり、熟練した技術が必要となるなど、コスト面の注意点も存在します。
本記事で紹介したメリット・デメリットを踏まえ、他の断熱方法と比較検討することで、最適な断熱方法を選択することが重要です。
施工性、スピード、コスト、そして環境への配慮など、さまざまな側面を考慮した上で、ご自身の住宅状況に最適な断熱方法を選択してください。
