近年、日本の住宅はますます高性能化が進み、高気密高断熱の家が標準になりつつあります。
特に寒冷地では、暖房費の削減や快適な室内環境を求め、高気密高断熱住宅の需要が高まっています。
しかし、そういった技術が進む以前、過去には思わぬ問題が発生したこともありました。
その代表例が「ナミダタケ事件」です。
今回は、ナミダタケ事件の内容とその解決策を解説したうえで、現在の高気密高断熱住宅がどのように進化し、より快適で安全になっているのかを詳しくご紹介します。
高気密高断熱の住宅とは
高気密高断熱住宅とは、住宅の外皮性能を向上させ、室内の温度変化を最小限に抑える住宅のことを指します。
高い断熱性能により冬の寒さや夏の暑さを和らげ、少ないエネルギーで快適な室温を維持できます。
また、気密性能を高めることで、外気の影響を受けにくくなり、冷暖房の効率が向上するメリットがあります。
このような住宅は、結露のリスクを抑え、耐久性の向上にも寄与します。
しかし、施工技術や換気計画が適切でないと、思わぬ問題が発生することがあります。
その代表的な例が「ナミダタケ事件」です。

ナミダタケ事件とは
ナミダタケ事件の内容
ナミダタケ事件とは、1970年代後半に北海道で多数発生した住宅トラブルです。
オイルショックを経て省エネで暖かい住宅を求めた北海道の方々は、壁の内部へ充填する断熱材の厚みを増やしました。
ところがそれによって、室内から壁内に浸入する湿気の逃げ場がなくなり、壁体内で外部の寒気にさらされて結露し、液体の水になってどんどん溜まっていきました。
その水分によってカビやキノコ類が繁殖していき、ついには床が抜けるほどまでに木材が腐食した住宅も出てきたのです。
ナミダタケ事件の原因は気密不足だとか、換気不足だとかよく言われますが、その本質は「防湿不足」と「通気不足」と考えます。
当時の住まいづくりでは、室内で発生する大量の湿気を壁体内に浸入させないための「防湿」という考えも、壁体内に入り込んだ湿気を外部に逃がすための「通気」という考えも、どちらもないままに高断熱化を進めてしまったがために、壁体内結露が生じてトラブルにつながったということです。

ナミダタケ事件後の対策
ナミダタケ事件の教訓を踏まえ、現在の高気密高断熱住宅では以下の対策が取られています。
防湿層を設ける
・壁の室内側に防湿シートによる防湿層を設け、室内の湿気が壁体内に入り込むのを防ぐ。
通気層を設ける
・壁の屋外側にタイベックなどの透湿性を持つシートを使用し、その外側に通気層を設けることで、壁体内の湿気を適切に排出する。
これらの対策により、ナミダタケの発生リスクは大幅に低減され、現在の高気密高断熱住宅はより安全で快適な住まいとなっています。

まとめ
高気密高断熱住宅は、適切な設計と施工を行うことで冬は暖かく夏は涼しい快適な住まいを実現できます。
過去に発生したナミダタケ事件の教訓を活かし、適切な防湿層と通気層を設けることで、高気密高断熱住宅は安心して過ごせる住まいになっているのです。
白田工務店では、高性能な高気密高断熱住宅を提供し、お客様に安心して長く住める住まいをお届けしています。
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