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2024.04.02

コラム

省エネ省エネ性能表示制度

遅すぎた「省エネ性能表示制度」の開始

前回のブログにおいて、省エネ性能表示制度が始まることと、そのポイントをご紹介させていただきました。

ご紹介してただ終わりでも良いのですが、今回のブログでは「始まるのが遅すぎるでしょう!」という意見も述べてみたいと思います。

自動車の「燃費性能」

例えば皆さんが自動車を買い替える際には、何を比較して購入するでしょうか?
デザイン・カラーや安全性などの他、「燃費」を特に重視して車を選ぶ方は非常に多いかと思います。

実際、デトロイトトーマツグループによる「2022年次世代自動車に関する消費者意識調査」によれば、「Q:自家用車の購入に際して、重視するポイントは何ですか?5つまで選択してください。」の問いに対して、「燃費・燃料費(ガソリン代・EVの電気代)」を選択した人は1,062人中656人と、2番目に多い回答でした。

今では自動車のカタログに燃費が書いてあるのは当たり前ですが、いつから燃費が表示されるようになったのか少し調べてみました。
すると、Wikipediaの「燃費」の項目に以下の記述をみつけました。

「かつて日本車のカタログに燃費性能が記された当初は60 km/h定地燃費が採用されており、1973年(昭和48年)から東京都の甲州街道での市街地走行を想定した「10モード燃費」が導入され、1991年(平成3年)には首都高速道路など都市高速道路の走行も加えた「10・15モード燃費」が策定された。10・15モードは自動車専用道路走行が加わり、10モードよりやや(1割程度)燃費値が良い。」

前半部をかみ砕くと、『1973年には「10モード燃費」という実態により近づけた燃費表記が生まれたが、それより前から時速60kmで走った時の「定地燃費」(定地走行燃費)というものがすでにあって、実態とはかけ離れてはいたもののカタログに記載されていた』ということです。
「定地走行燃費」が、1973年より前から表記されていたことは分かりましたが、それがいつからなのかまではさっと調べた限りにおいては見つけられませんでした。

ようやく始まった制度もあくまで「目安」

今回「省エネ性能表示制度」で採用された「目安光熱費」は、それ自体は非常に良いことではありますが、その名の通りあくまで「目安」の域を出ていないのが実態です。
その証左として、省エネ性能表示制度のガイドライン資料の中でも「あくまでも比較検討の目安」であり、様々な条件によって実態と乖離があることが紙幅を大きく割いて説明されています。

つまり、いうなれば自動車燃費の元祖である「定地走行燃費」同様、「実態との乖離があるものの相互比較の目安にはなる」という程度の「目安光熱費」が、令和も6年目となる2024年、ようやく表記されるようになるのです。

自動車の燃費が表記され始めた時から数えて、「少なくとも50年以上経ってようやく」、ということです。

様々な業界団体の抵抗あってのことかと思いますが、自動車よりもはるかに大きな買い物である住宅において、省エネ性能がこれほどまでに軽視されてきたことに、憤りを隠せません。

一方で、住宅においては住む人によって快適な室温が結構違うという問題もあるので、「より正確な、自動車で言うWLTCモードに相当するような目安光熱費算出方法を早く出せ」とまで言うつもりはありません。
あくまで、「目安光熱費」表示の努力義務化をするのが遅すぎたという点が憤るポイントです。

50年以上に渡る莫大な富の流出

この50年以上、住宅の省エネ性能の表記をしてこなかったことによる日本国への損害は甚大です。
日本はエネルギーのほとんどを海外に依存している国です。2023年4月の資源エネルギー庁の公表(https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/gaiyou2021fykaku.pdf)では、2021年度における日本のエネルギー自給率は原子力発電を含めても13.3%に過ぎません。残りの76.7%は海外に依存しているということです。

日本原子力文化財団より。2020年の数値によるため文と一致しないが、日本のエネルギー自給率の低さが分かる

つまり、省エネ性能の低い住宅で冷暖房費を無駄にかけることによって、電気・ガス・石油等のエネルギー資源が無駄遣いされており、海外の資源供給国に対してその分無駄に費用を払い続けてきているわけです。

住宅の省エネ性能を軽視してきたことによって、莫大な富が国外に流出してきたのです。

50年もの間、住宅にかかるエネルギー費用を無駄遣いし続けたことが、現在の日本の衰退の一因となっていることを反省し、今後は真摯に省エネ性能の高い住宅ストックを作り上げていけるようになることを願ってやみません。

弊社白田工務店では、家づくりにおいて省エネ性能が重要な時代が来ることにいち早く気づき、今から約30年前となる1995年頃から高気密・高断熱の家づくりを開始しています。
高気密・高断熱の家づくりは当時まだ珍しく、「息苦しくなる」「カビで家がダメになる」などの誤った認識が多かったようです。

それが今となっては、高気密・高断熱の家づくりは「国策」と言えるまで地位が高まりました。

今後も高気密・高断熱はもちろんながら、耐震性、耐久性などの基本性能の高い家づくりを推進し、お客様の生命・健康と財布を守れる工務店でいたいと考えます。

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