※本内容は3月16日(水)深夜の地震が発生する前日、3月15日に予約投稿しておいた内容です。以下加筆修正せず、そのまま投稿いたします。
3.11から5年後の2016年、熊本地震において震度7の揺れが立て続けに2度発生した益城町の惨状を見て、考えが甘かったことを思い知らされました。
発災後に日本建築学会により実施された益城町の悉皆調査の集計結果に基づき作成された資料によれば、木造住宅の「大破」・「倒壊・崩壊」を合わせた被害棟数と被害率は以下のようにまとめられます。
この集計結果より、以下のことが読み取れます。
①旧耐震基準(~1981年6月)の木造住宅759棟のうち、大破・倒壊・崩壊したのは約45.7%の347棟。
②新耐震基準(1981年6月~2000年5月)の木造住宅877棟のうち、大破・倒壊・崩壊したのは約18.4%の161棟。
③新・新耐震基準(2000年6月~)の木造住宅319棟のうち、大破・倒壊・崩壊したのは約6%の19棟。
④耐震等級3の「認定を受けている」木造住宅16棟のうち、大破・倒壊・崩壊したのは0棟。
注目は③「新・新耐震基準で大破・倒壊・崩壊したのは約6%」という点。
これを見て、
「やはり新・新耐震基準で建てておけば安心だ」と捉えるのか、
「新・新耐震基準で建てても大破・倒壊・崩壊の危険性があるのは心配だ」
と捉えるのかは、持って生まれた性格にもよるでしょうから、人それぞれかもしれません。
ですが建築に携わる者としては、後者の考えに至るのが当然ではないかと思います。
そこからいくと、④「耐震等級3で大破・倒壊・崩壊したのはゼロ」ということに着目し、ここを目指していくべきなのではないでしょうか。
益城町において、現行の建築基準法(2000年以降の新・新耐震基準)で建てられた木造住宅の約6%が大破・倒壊・崩壊したのはなぜでしょうか。
震度7の巨大地震が、立て続けに2度も発生することは、「建築基準法では想定外だった」からです。
実際にそれを経験した以上、次回以降に震度7の巨大地震が2度立て続けに起こった場合、建築基準法上は「想定外」であっても、建築実務者としては「想定外だった」という言い訳はもう通用しません。
2011年3月11日の東日本大震災、大津波による被害は「想定外」でした。
2016年4月14日・16日の熊本地震、2度の震度7に襲われることは「想定外」でした。
次は一体、どんな「想定外」の地震が起こるのでしょうか。