先日、「充填断熱と気密施工について_荒谷のCoRoDo.⑧」や「天井の裏側! 天井下地と天井気密工事について_荒谷のCoRoDo.⑨」の記事では断熱工事と気密工事についてご紹介しました。
今回の記事では、これらの施工が終わった後に行う「中間気密測定」について、作業の様子や測定結果をご紹介しようと思います!
「C値」とは?
住宅の気密性を測る数値で、建物と外との間にどれだけの隙間があるのかを表します。
単位は[㎠/㎡]で、「住宅の床面積1㎡あたり何㎠の隙間が空いているか」を表す数値となっています。
住宅の冬の暖かさを確保するためには断熱性だけでなく気密性も非常に重要だということが、今では建築実務者の中でも共通認識です。そのため高気密高断熱の家づくりをおこなう会社の中では気密測定をおこなうことは「常識」となってきております。
C値が低い(=家の隙間面積が少ない)家は、ただ「すきま風がないから暖かい」というだけでなく、換気効率も高く維持することができます。計画通りの換気をおこなうためにもC値に気を配る必要があるわけです。
C値(気密性能)は、設計段階の机上の計算で出せるものではなく、現場で送風機を用いて実測をしないと出せないものです。
気密性を高さは、大工さんや設備屋さん、電気屋さんなど、様々な職人さんたちのこまごまとした気遣いの積み重ねで成り立つものです。
「高気密高断熱の家づくりをしています」と言いながら現場でC値の測定をしないようでは、何をもって「高気密」を謳っているか疑問と言えます。
「中間気密測定」と「完成気密測定」
――「中間気密測定」だけで充分??
今回の荒谷のCoRoDo.の気密測定は「中間気密測定」。
当社では、断熱・気密工事が完了した後におこなう「中間気密測定」と、内装工事や各種設備機器の取り付けが完了し引き渡し直前におこなう「完成気密測定」の2回の気密測定をおこなっています。
C値は基本的には住宅の完成後に測定することとなっており、完成した住宅の気密性能の高さを確認したうえで、結果報告書を施主様に交付するものです。
とはいえ、完成時に気密測定をして結果が良くなかった場合、手直しのしようがありませんから、どうしようもありません。
そこで大抵の工務店では、断熱気密工事が完了した後の「中間気密測定」をおこない、測定結果がイマイチな時に手直しできるようにしています。
そして、気密測定も1回実施するだけでそれなりの金額になりますから、その「中間気密測定」のみ実施して「完成気密測定」は省略する工務店さんも多いのが実態です。
そこを当社では「中間気密測定」と「完成気密測定」の2回、おこなっています。
「同じことを2回やるの、費用がもったいないのでは?」という考えもあるかと思いますが…
たしかに同じことを2回するのですからそのような気もするのですが、「中間」と「完成」では目的が違うということを確認する必要があります。
あくまでお客様が気になるのは「完成した住まいの住み心地」ですから、完成時の気密測定結果さえ安心できるものであれば良い。
でも完成時の測定では手直しが事実上できないから、施工会社としてはもっと早い段階で気密性のあたりをつけておきたい…
つまり、
「中間気密測定」は、自社の工事に手抜かりがないか確認して何かあれば手直ししたいがための測定。
「完成気密測定」は、お引渡しする完成したお住まいの気密性の高さを確認していただき、安心してもらうための測定。
と、目的が異なるわけです。
そのようにぼんやり整理すれば、やっぱり両方必要だよね!と納得しております。
どうやって測定しているの?
まずは、まだ作業段階的に塞がれていない配管や設備用の穴(エアコンや換気扇用など)などは、完成後を想定して養生テープなどで塞いでいきます。
そのうえで送風機と測定器を設置して測定を始めていきます。
「家じゅうの隙間面積の合計や床面積1㎡あたりの隙間面積を、一体どのようにして測定しているの??」と不思議な方も多いでしょう。
ひとことで言い表すと、「送風機で家の中から屋外に向けて風を送り、その際の通気量や屋内外で生じる圧力差を測定して、総隙間面積を測定している」という説明になります。
理系の方などは興味があるでしょうから、詳細は『JISA2201:2017 送風機による住宅等の気密性能試験方法』をご覧ください。
今回の測定結果は…?
前置きはここまでにして、気密測定の結果を見ていきましょう。
結果は、、、「C値=0.3㎠/㎡」!
C値1.0を下回れば「一般的な高気密住宅」、C値0.5を下回れば「ハイレベルな高気密住宅」と言われますので、C値0.3は非常に気密性が高いことが分かります。
ちなみに、測定結果画面に記載されている「αA値」は総相当隙間面積のことを指していて、家全体の隙間を全部足し合わせた面積のことです。
その値は「αA=36㎠」
つまり、家全体の隙間をすべて足し合わせてもたった6cm×6cmの面積しか隙間がないという事です。
C値0.3の超・高気密住宅であれば、エアコンや換気機器も効率的に働いてくれて、夏の涼しさや冬の暖かさが簡単に実現しやすくなるでしょうね^^
とはいえ今回の測定結果はあくまで「中間気密測定」。ここからの作業の質次第で大幅に悪くなることももちろんあります。
引き続き、気を抜かずに工事と施工管理を進めてまいります!
山形県は「夏は灼熱、冬は極寒」な地域です。
そして昨今の異常気象はその気候の寒暖をより顕著にしています。
家はただ暮らすだけの場所ではなく、「過酷な外気温熱環境から身を守るためのシェルター」の役割を増しており、そんな今だからこそ、家の中で安全かつ快適に過ごすためには「高気密で高断熱な家」が重要です。
弊社では「高気密高断熱」な家を長く推奨してきています。
これまで培ってきた知見と技術で「お客様が安心安全に暮らせる家」を提案し、造りだしてまいります。
お家に関することでお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談いただければと思います。