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2024.08.02

コラム

ユニバーサルデザイン人間工学間取り

人間工学と住宅の関係性とは?「過ごしやすさ」のために気にすると良いポイント

「人間工学」って、どんなものか知っていますか?
人間が自然な動きや状態で物や環境を使えるように設計したり、デザインに活かす学問のことをいいます!
今の生活しやすい環境があるのは、「人間工学」が研究され続けてきたからこそと言っても過言ではありません。

特に、家づくりにおいては「人間工学」を参考にした設計が至る所で見られます。
それは間取りであったり、家具であったりと多種多様です。
特に、子供からお年寄りまで一緒に暮らす「家」だからこそ、『皆が使いやすい』という点には工夫が必要になります。
そして、その「工夫の目安」になるのが「人間工学」の知識といえます。

今回は、どのような考え方のもとで間取りなどを設計しているのかを紹介していきます!

人間工学とは?

人間工学は、人間の能力や特性に合わせて製品や環境を設計する学問です。人間工学を建築に活かすことで、人々がより快適で効率的に生活や作業を行うことができるようになります。

一般住宅の設計においても、人間工学の原則は重要な役割を果たします。
例えば廊下の幅1つとっても、人が安全で快適に移動できるように配慮されています。
さらに細かいところでは、照明の配置やスイッチの位置も、視認性や操作性を考慮して設計されます。
このように、人間工学は居住空間の快適さと機能性を向上させるために活用されています。

人間工学が家の設計に適用される具体的な事例として、以下のようなものがあります。
当社でお勧めする寸法や計算式も一緒にご紹介しますね!

1:キッチンの作業台の高さ

作業台の高さを標準的な作業者の身長に合わせて設計することで、料理や洗い物の際に腰や背中にかかる負担を軽減します。
また、作業スペースの配置を「作業三角形」として効率的に整えることで、動きやすさを向上させています。

作業台と身長との適切な関係について、一般的によく言われる計算式として、「身長÷2+5cm」というものがあります。
たとえば身長160cmの場合は、「160cm÷2+5=85」となり、天板の高さ「85cm」が最適、ということが分かります。

2:階段の設計

階段の段差や段板の深さは、人が自然に歩けるように配慮されています。適切な寸法を保つことで、転倒のリスクを減らし、安全性を確保します。
階段には「蹴上(けあげ)」「踏面(ふみづら)」といわれる寸法があります。蹴上は一段の高さのことをいい、踏面は足を載せる段板の上面のことで、その奥行長さをいいます。

なんとなく、蹴上は低ければ低いほど、踏面は広ければ広いほど昇り降りしやすい階段だということはイメージできるかと思います。
ですがその関係がアンバランスだと、一歩一歩が大股歩きのようになってしまったり、逆にちょこちょこと細かく足を運ぶ必要があったりと、昇り降りしづらい階段になってしまいます。
建築基準法においては、一般住宅の場合の階段寸法は蹴上23cm以下、踏面15cm以上と決められていますが、この数値で設計すると狭くて勾配が急になるため、ちょうどいい寸法にしなければなりません。

一般的には、「蹴上×2+踏面=60cm」の公式が成り立つ蹴上・踏面寸法が良い階段だと言われています。
省スペースな階段の場合であれば「蹴上20cm×2+踏面20cm=60cm」が良いかもしれません。
小さいお子さんやお年寄りの上り下りが多い場所では「蹴上15cm×2+踏面30cm=60cm」が危険がなくて良いですが、段数が増えて場所も大きく取るのがデメリットです。
少しスペースは取るけど結構昇り降りしやすい寸法として特におすすめなのは、「蹴上18cm×2+踏面24cm=60cm」程度です。現代の小さい住宅ではそれでもスペースを取るのが大変ではありますが、参考にしていただくと良いと思います。
また、手すりの位置や高さも重要で、握りやすさは安定した歩行をサポートします。
一般的には、大人の場合は階段から手摺までの高さが75cm~85cmだと使いやすいと言われていますが、これは使う方の身長次第で変わってきます。
小さな子供だと60cm~65cmほどが使いやすいようですね。

3:ドアノブの高さ

ドアノブや照明スイッチの高さは、子供や高齢者を含むすべての人が容易に利用できるように設計されます。特に、バリアフリー設計では、車椅子使用者でも操作しやすい位置に配置することが重視されます。

一般的にドアノブや引き戸の手掛けの高さは、床面から90cm~95cmの高さに配置されることが多いです。
開け閉めの際に腕を大きく上に上げる必要がなく、最小限の動きで手を掛けることができる高さに設定されているのですね。
この高さであればお子さんでも何とか開け閉めできる高さになっています。

4:スイッチの高さ

一般的な照明スイッチの高さは床面から120cmとなっています。
これは、スイッチについているネームタグ(「リビング」とか「ダイニング」とかの文字)が視認できる範囲で、腕の上げ下げに過大な負担がない高さということで、慣習的に一般化されているようです。

もちろん120cmの高さでも良いのですが、当社ではお客様のご要望次第でスイッチの高さも90cm~95cmの低い場所に取り付けることがあります
これは、「3:ドアノブの高さ」でお伝えしたように、腕の上げ下げに負担がかからず、最小限の動きで操作できる高さであるため、というのが一つの理由です。
90cm~95cmの高さだとお年寄りでも大きな負担がなく操作でき、子供でも届きやすい高さです。

さらに、ドアノブと同じ高さということは、例えば真っ暗の部屋に入ってドアを閉めてスイッチを探す時、ドアノブのすぐ横を探せばすぐにスイッチを探し当てることができるという利便性があります。ドアノブとスイッチの高さが違うと、どこにあるか探し当てるまで少し手がさまよってしまうこと、ありますよね^^;

それに、ドアノブと高さが揃うことによって見た目もすっきりする、というデザインの観点からもメリットがあります。

以上のことから、当社ではスイッチの高さをドアノブと合わせて90cm~95cmほどにすることをお勧めしています。(好みがあるため採用されないことも多いですが・・・)

5:コンセントの高さ

ではコンセントはどうでしょうか?
コンセントは通常、床面から25cmの高さに設置することが多いと思います。
この25cmの高さに疑問を持つ方はそんなにいないかもしれません。

ですが、試しに「US outlets height(アメリカ コンセント 高さ)」で検索してみると、アメリカでの一般的なコンセントの高さは床面から40cm~45cm程度だということが分かります。

 

試しに「UK outlets height(イギリス コンセント 高さ)」でも検索してみたところ、やはりイギリスでも「床上最低400mm」とされているようです。

イギリスでもコンセント高さは400mm以上とされている

 

この高さの違い、私の予想では、日本の一般家庭に電気やコンセントが普及し始めた当時はまだ、畳敷きの家で地べたに座布団を敷いて生活するスタイルがほとんどだったことに由来するのではないかと考えています。
座布団に座っている状態であれば、たしかに45cmは高すぎると感じ、25cmくらいの高さがちょうど良いように感じます。

海外からの文化をただそのまま受け入れるのではなく、自分たちのライフスタイルに合わせてうまくアレンジした結果が「コンセント高さは床上25cm」だったものと思われます。

 
しかし現代の家では畳敷きはむしろ珍しくなっており、テーブルと椅子で過ごすスタイルが多くを占めているのではないでしょうか?

立った状態から、床上25cmのコンセントに差し込むためには腰を大きく曲げる必要があり、腰に大きな負担がかかります。
一方で、床上45cmのコンセントであれば、腰を曲げる負担は各段に軽減され、小さな負担で抜き差しすることができるようになります。

そう考えると、わざわざ「畳敷きに座布団」の時代と同じ25cmの高さにコンセントを設ける必要はまったくないわけです。(和室や畳スペースは、今でも床上25cmが良いかもしれませんが)

 

コンセントの事例で言えば、昔の日本人が自分たちの生活スタイルに合わせて人間工学的に使いやすいように工夫したところ、それが「常識化」してしまったという不幸が感じられます。

常識化してしまったがために、現代の生活スタイルに合わなくなってしまったにも関わらず、疑問を持つこともなく我慢してしまっている事例と言えるでしょう。

当社では、床上45cmの方がコンセントの抜き差しがしやすくて使いやすいユニバーサルデザインであることをお伝えしていますが、それでも採用されるのは半々といったところです。

当社のモデルハウスでの照明スイッチ・コンセントの高さの例

 

日本建築は昔から「人間工学」的な基準を持っていた?!

日本では、人間工学が学問として広まる前から「日本人の体型に合った基準」によって家づくりがなされていました。

その基準が、今でも日本建築に使用されている考え方で「尺寸法」というものです。
これは日本独自の長さの単位で「尺・寸・分」などがありますが、標準単位がメートル法に改正された今でも、建築の現場では「尺寸法」が多く利用されています。

建築における設計基準となる寸法を「モジュール」と言いますが、日本では今でも3尺×3尺(910mm×910mm)を1つのグリッドとしたモジュールとして間取りを組み立てています。
廊下やトイレ、階段の幅なども、3尺(910mm)を基準として間取りを組むのが通常です。

他にも「起きて半畳、寝て一畳」という表現を聞いたことがあると思います。
これは、人間1人に最低限必要なスペースは、座るときに半畳、寝るときに1畳だけあれば十分なことを表した言葉。現在でも日本人に適したサイズ感を表す内容でもあると思います。
このように「日本人の体型」に合わせた家づくりが昔からされているんですね、つくづく先人の知恵は興味深いものが多いですね。

多くの工業製品は、「人間工学」を利用して作られています。
そして、注文住宅は一般的な人間工学にプラスして、さらに「お客様自身に合わせたオーダーメードの家」を実現させることができます!

弊社では、お客様の体型や暮らし方に合わせたお家の設計が可能です。
例えば、施工途中に実際にお客様に現場を確認いただき、棚や手すり、スイッチの位置などを微調整することもよくあります。
ちょっとした動作でも日々のルーティーンの一つであれば「使いやすさ」が重要です!

新築やリフォームをお考えの方は、「自分はどんな動きで家を使ってるか」など日々の動作を振り返っていただき、お家の「使いやすさ・過ごしやすさ」に反映してもらえればと思います。
当社はそれを全力でサポートさせていただきますね!

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