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2024.04.26

住宅性能

リノベーション気密性能省エネ高断熱高気密高気密高断熱

断熱政策の変遷と、今だからオススメするリノベーション

2023年の冬は暖冬と言われていましたが、皆様のお家はいかがだったでしょうか?
いくら暖冬とはいえ、家の中は寒くて大変だったという方も多いかと思います。

気候変動や災害の頻発、さらにはエネルギー問題などもあり、住宅の性能や住環境のスペックに対する関心が高まっているのは皆様もご存知の通りです。
その解決策として、弊社では長年「性能重視」の家を推奨しております。
高気密・高断熱、耐震性、耐積雪性、耐久性など、どれも安全かつ健康的に住まう家を作るには大切な性能要素ばかりです。

しかしその「性能」も、時代とともに仕様や評価の仕方が変わってきています。
近年もまた、断熱性の点や、耐震性の点で、大きな改定が予定されています。
必然、かつては最新で最高水準であった家だとしても、現在の評価基準で見ると多々改善の余地が見られることも増えてきます。

今回はそんな性能基準の中でも断熱性に関する政策の変遷と、性能を向上させるリノベーションをオススメする理由をお話しできればと思います。

国がようやく本腰を入れた断熱性能

現在、断熱性能は国の評価基準においては断熱等級7まで設定されています。
そして、「2025年4月からは等級4以上の断熱性能が義務化」されることになりました。
断熱性能に関する基準改正の歴史を見ていくと、そもそもこれまで建てられてきた住まいはすべて義務化以前の建築ですから、基本的には断熱性能がどうなっているか分からない住まいばかりということが言えます。

<断熱性能に関する基準の大まかな変遷について>
1970年 住宅金融公庫仕様書に断熱材について初めて明記された。
1980年 旧省エネ基準(断熱等性能等級2相当)が制定された
1992年 H4 省エネルギー基準 改正 【新省エネ基準】(断熱等性能等級3相当)
1999年 H11 省エネルギー基準 改正 【次世代省エネ基準】(断熱等性能等級4相当)
2013年 H25 省エネルギー基準 改正 【平成25年省エネ基準】(断熱等性能等級4)
2016年 H28 省エネルギー基準 改正 【平成28年省エネ基準】(断熱等性能等級4)
2025年 R7 省エネ基準適合義務化(断熱等性能等級4)
2030年 R12 適合義務基準引き上げ予定(断熱等性能等級5)

なぜ2025年から断熱等級4以上が義務化されるのか、その理由も見ていきましょう。

高断熱の省エネ住宅が義務化されたことには、「2050年カーボンニュートラルの実現」「2030年度温室効果ガス46%排出削減」という、国が掲げた目標が背景にあります。
建築物はエネルギー消費の約3割を占めている分野ですから、この大きな目標を実現するためには建築物における省エネ対策が必須といえます。
日本の住宅の断熱性能基準は、20年以上前に作られたものがずっと使われており、先進国の中では最低レベルであると言われています。
社会全体で省エネ促進に取り組むために、建物の省エネ性能の基準適合が義務化されたわけであります。

もちろん、「義務化されたから、しょうがなく、した方が良い」という意識ではいけません。
実際、断熱性能の高い家に住むことで、これまでの断熱性能の低い家に住んでいた時の様々な問題が解決するのですから。

寒い家での、室内温度低下による健康被害もその1つです。
世界保健機関(WHO)からは、2018年11月に「WHO 住宅と健康ガイドライン」が発表され、その中の寒さ対策として冬季室内温度は18℃以上を推奨する、とされております。
室内温度が18℃以下だと血圧が上昇したり、睡眠の質にも影響を及ぼすからです。また、よくいる室内が暖かくとも、他の部屋との温度差がある場合はヒートショックを起こす可能性もあり、お家全体の温度管理は健康的に生活するためには大事なことであると考えられます。

しかし、国土交通省が厚生労働省と連携して、2014〜2018年度にかけて行った「スマートウェルネス住宅等推進調査事業(SWH全国調査)」によれば、
日本国内の住宅は、WHOの冬季室温勧告値18℃を満たさない住宅が全体の6割を占めているとのこと。また、寝室の就寝中平均室温は12.6℃、脱衣所の在宅中平均室温は12.8℃で、いずれも18℃未満の住宅が9割を占めており、調査対象のほとんどの住宅が、WHOの冬季室温勧告18℃以上を満たしていない状況が見られたようです。
(参照:健康長寿ネット)

割と最近建てられた住宅だとしても、まだ断熱性能に対して何らの適合義務もない時代の住まいです。
建築業者の断熱性能への取り組みが不充分であれば、全館の寒さ対策が十分でないものが多いことに注意が必要です。
「これまでは大丈夫だった。」「我慢できる。」と安易に考えれば、居住者の健康と生命を脅かす事態になり得るということを心得ましょう。

参照:厚生労働省 https://e-kennet.mhlw.go.jp/tools_temperature/

断熱等級による室内温度の違い

断熱等級の違いによって、どれだけ室内の温度に違いがあるのでしょうか?
東京大学の前真之准教授の研究を例にお話しします。

著:前真之准教授「vol.033/祝!断熱の上位等級新設&窓の選び方」より抜粋

断熱等級4: 床温度16℃
断熱等級5: 床温度18℃
断熱等級6: 床温度22℃
断熱等級7: 床温度24℃

サーモグラフィーの画像から分かる通り、断熱等級の違いで床下温度がはっきりと違ってくるのが見てとれます。
断熱等級4で床温度16℃ということは、推奨室内温度18℃の住宅にするには、最低でも断熱等級5以上はないと実現が難しいと考えられます。(この実験は各物件が異なるため、条件によっては上記と異なる結果になる可能性もありますので、あくまで参考値として見てください)
しかし、断熱等級5はいわゆる「ゼロエネルギー住宅(ZEH)レベル」で一見すごそうですが、明らかに実感できるぐらいの「暖かい家」とするにはいささかレベルが足りないと言えるでしょう。

ではどの断熱等級レベルを目指せばいいのでしょうか?
前先生曰く「健康・快適と省エネの両立をするには、これからは断熱等級6が基本」との考えです。

HEAT20の試算では、断熱等級5で全館空調※を行うと、断熱等級4の家で部分間欠空調※をした場合より増エネになってしまうとのこと。…
ですが、断熱等級6まで強化すると、等級4×部分間欠空調と同じエネルギーで、全館空調を行うことが可能です。(やりようによってはより少ないエネルギーでの全館空調の実現も考えられます)
なので、健康・快適と省エネ・脱炭素を両立させるのに必要な基本性能は、断熱等級6だと言えるでしょう。

※全館空調…家中を24時間暖冷房する
※部分間欠空調…人がいる部屋・時間にだけ冷暖房をする

それに、断熱等級6以上は体感的にも暖かさは段違い!
特に、足元の暖かさが決定的に違います

上記のサーモグラフィー画像からも分かるように、断熱等級5でも床部分は緑色で室内に寒暖差が見られますが、断熱等級6は足元から暖かい様子が伺えますね!
人は言わずもがな、室内空間の下部で生活をしますし、くつろぐ時などは床に寝転ぶなどもするでしょう。しかし冷気が溜まりやすいのも床面です。
ですので「床が暖かい」というのは快適で健康的に過ごすためには大事な性能の一つと考えると、断熱等級6以上でお家を建てることをぜひおすすめしたいですね。

今こそ性能向上リノベーション!!

ここまで、室内温度と断熱性の関係性や、温度調整の重要性をお話ししてきました。
やはり、より健康的な生活は暖かい家があってこそ!だと思います。

「じゃあ、新築を建てないと暖かい家にはならないのか…(悲)」と思う方もいるかもしれませんが、
いえいえ! そんなことはありません。
改修や「リノベーション」で、状況を緩和・改善することもできます。
リノベーションはリフォームと異なり、建てた当初よりも性能を上げる施工内容を指します。見えるところはもちろん、性能などの見えない部分も改善していくことになります。

しかし、現実問題お値段もそれなりかかってしまうのは事実です。…
(なぜなら部分的に壊すところに時間がかかったり、産廃の処分にも料金がかかるため…)
ケースにもよりますが、とても古い家のリノベーションなどは壁や床を開けて見ないと分からない部分が多く、予想よりも費用がかかってしまう場合もあります。

ですが! 大掛かりなリノベーションでなくとも部分的な改良で現状を良くしていくこともできます。
例えば以下のような対応など考えられます。
・内窓の追加(補助金対象)
・ダブルまたはトリプルガラスの高性能な窓へ取り替え(補助金対象)
・壁や床の気密性、断熱性を高める(外張り断熱改修にも補助金が出ています)
・暖房器具の見直し
・太陽光パネルの追加で自給エネルギー確保

施工内容によっては国や町の補助制度を利用することもできるので、多少お得に実施することもできます。
改修の範囲が小さすぎれば問題の解決にならないこともありますが、もっとも熱の出入りが多いのは性能の低い窓です。
寒さ等の問題の緩和にもっとも効果的ともいえますので、そういった箇所からまずは直していく、というのも一つの手かと思います。

「リノベーション」は専門的な知識や技術が多分に必要な分野でもあります。
何かお困りのことがあれば、ぜひ一度気軽にご相談いただければと思います。

高気密高断熱な家は弊社にお任せ!!

弊社では長年「高気密高断熱な家づくり」を重要視してきました。
ですので、性能の高い住宅設計や施工には、自信を持ってご提案できるかと思います。

2022年に完成した「CoRoDo.モデルハウス」においては、「超高性能」な仕様で、暖房期においては「床下エアコン1台」で全館が暖かくできる仕組みになっております。
以下の記事ではCoRoDo.モデルハウスをサーモグラフィーで検証した結果や、エアコン暖房に関することをご紹介しております!!
家づくりのご参考にもなるかと思いますので、ぜひ合わせて確認してみてください。

▶︎サーモグラフィーで実証! 超高気密高断熱性能
▶︎朝日町「CoRoDo.」モデルハウスの空調設備の秘密! エアコンの使い方と「エアコン1台のみ」のリスク

▼CoRoDo.についてはこちら
https://shiratakomuten.com/corodo/modelhouse/

また、弊社では新築だけでなく、リノベーションも対応しております!
最近ですと、築166年の古民家をリノベーションさせていただきました。
古い建築様式に詳しいベテラン大工も在籍しておりますので、「そもそもリノベーション可能なのか?」「うちの場合はリノベと新築、どちらが良いか?」など、気軽に聞いていただければと思います。

▼リノベーション事例はこちら
https://shiratakomuten.com/work/0005/

皆様からのお問い合わせ、お待ちしております!

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