天童市で新築中の荒谷のCoRoDo.にて、階段の施工が完了しました。
階段の施工は「一人前の大工になるための登竜門」と言われるくらい、ベテランの大工さんでも難しいと感じる造作物でもあります。
どのように一般住宅の階段が作られているのか、制作途中の様子をご紹介していきます!
大工は階段が作れるようになったら一人前
住宅の大工工事の中で何が一番難しいか?
と大工の皆さんに聞くと、大抵「階段」と返答がくるぐらい、大工の腕が最も試される施工箇所です。
階段の施工は、大工スキルの全てを使うと言っても過言ではなく「大工は階段を作れて一人前」と言われてます。多くの大工さんが、7年〜10年目でやっと階段を1人で任せられるようになるぐらい、技術の研鑽が必要なんです。
そんな階段施工ですが、以下のような要素が大事になってきます。
1. 正確な設計と計算
階段は安全で使いやすくするため、非常に正確な設計と計算が求められます。
段の高さ(蹴上げ)と踏板の奥行き(踏み面)のバランスが重要です。各段の高さが均等でなければ、利用者の転倒のリスクが高まります。
階段の設計について、以下の記事で参考になる数値や事例などを紹介しているので、合わせてチェックしてみてください!
<おすすめ記事>
人間工学と住宅の関係性とは?「過ごしやすさ」のために気にすると良いポイント
2. 構造的な安定性
階段は、毎日人が上り下りに使用する場所でもあり、耐久性と安定性が大事!
適切な材料の選択や、強固な支持構造の構築が重要です。これには、大工が材料の特性を理解し、適切に扱う技術が必要不可欠でです!
3. 施工精度
階段の各部位(踏み板、側板、手すりなど)が正確にフィットするように施工をしなければなりません。
どれか一つでもズレが生じると、最終的な仕上がりが悪くなり、見た目や使い勝手に問題が発生します。特にL字型、U字型の階段ではより高い施工精度が求められます。
ちなみに、大工さんに話を聞いたところ、
「階段を真上から見たときの踏板の位置が大事! 少しでもずれていると蹴上げの板が歪むし、安定性も崩れる。それに歪みがあると材料が欠けたり、隙間ができてゴミが溜まる原因になる。」
と教えてもらいました。
4. 美観と仕上げ
階段は機能性だけでなく、見た目の美しさも重要です。手すりや段の素材、仕上げの処理において、細部に気を配り、見栄えの良い仕上がりを実現することが求められます。
そのためには先述の「3. 施工精度」がとっても重要です!
それに、階段の施工は設計図通りだけやって上手くという物ではなく、現場で微調整しながら仕上げていく必要があるので、大工さんの技量が肝になってくる訳なんですね。
これらの要素が重なることで、階段制作は大工の中でも特に高度なスキルが求められる作業の一つとされています。
階段施工は現場での調整が必須
先述の通り、階段の施工は現場で微調整しながら仕上げていきます。
階段の材料は、プレカットで側板のカットや踏板の溝加工がされた物を使用することが多くなっていますが、踏板などは現場で採寸してカットして合わせます。
特に、今回のお宅は踊り場のない折り返し階段となるため、折り返し部分の踏板などは全て異なるサイズと形に切り出す必要があります。
大工さんは、このような複雑な施工を行う場合、「原寸」で設計図を造り、材料の切り出しを進めたりします。(※やり方は人によりけりです)
しかし、設計図通りに材料をカットしたからと言って一発で上手く階段を組み上げられるかというと、、、そうではありません!
階段施工が難しい理由の一つですね。
例えば、折り返し部分の踏み板は、それぞれ異なる台形のような形にカットするのですが、それをプレカットされた側板にはめる時に、鋭角な部分が綺麗にフィットしなかったりします。
これに対して、大工さんは、側板の方を踏み板の鋭角に合わせ削って調整していました。なかなか繊細な加工が必要になってくるわけなんです。
このような細やかな調整を経ることで、綺麗な階段が仕上がるんです!
階段を固定するアイテムを紹介!
ちょっとここでコアな施工内容紹介!
どのように階段を固定しているのかなどをお見せします^^
<踏み板用くさび>
踏み板がずれないように、側板の溝と踏み板の間にくさびを打ち込み、ガッチリと固定します。
おすすめは樹脂製のくさびです!
大工さん曰く、木だと経年と共に痩せてしまい、最悪の場合は階段の踏み板がずれたり階段が歪んだりしてくるそう。
樹脂製であれば、そのような心配はありません!
<根太ボンド>
上記のくさびを入れるときに、この根太ボンドも使います!(写真に写っているオレンジ色のもの)
この専用ボンドは、振動や伸縮に強く、そして木材と樹脂製のくさびをちゃんと固定してくれるので、より安定した階段に仕上げることができます。
このボンドですが、ポリウレタン樹脂系のボンドとなっています。
ちなみに、水性のボンドはNG! 気温や湿度の影響を受けやすいので、粘着性が落ちる可能性があるからです。
今回は階段施工の大事なポイントや難しさ、安全性をどのように確保しているか等々、現場の様子も含め裏側についてご紹介しました!
階段は、紹介したもの以外にも種類があり、造り方に多少の違いはありますが、施工の難しさや精度の大事さは一緒です!
今回は新築時の階段施工についてご紹介しましたが、古いお家の階段リフォームもご対応可能です!
ご自宅の階段が急で危ない、段の高さがまちまちで危ないなど、階段に関するお悩みがあったりリフォームを検討している方は、ぜひお気軽にご相談くださいね!