先日、「付加断熱と透湿防水シートの施工について_荒谷のCoRoDo.⑥」という記事で外壁施工の様子を紹介しましたが、その後の外壁施工についてご紹介します!
今回紹介する通気胴縁と外壁の施工は「家を長持ちさせる」ため、「耐久性の向上」のために大事な工程となります。
ぜひ内容をチェックして、高性能な家づくりの参考にしていただければと思います!
外壁は「通気」が大事
外壁材を張っていく前に、外壁材の下地となる「通気胴縁」を取り付けていくのですが、以下のような大事な役割もあるんです!
1:通気性の確保
通気胴縁は壁内(外壁材と透湿防水シートとの間)や屋根裏に空気の流れを作り出し、壁体内に入り込んだ湿気を外部へ逃がすことで、壁体内の結露やカビ・腐朽を防ぎます。空気は下から上へと縦方向に流れる性質があるので、通気胴縁は基本的に縦に張り付けることが多いです。
使用する外壁材や外壁の向きによっては、通気胴縁を横向きに取り付ける場合もあります。通気胴縁を横向きに取り付ける場合、一定間隔ごとに胴縁の切れ目を作ってあげて、そこから上部へ空気が流れるようにすることが大事です。
その一定ごとの切れ目からだけではうまく通気するか心配だという工務店さんは、最初に縦の胴縁を張ってから横の胴縁を張り、縦横無尽に通気されるようにする、「クロス通気胴縁」という方法を取る方もいらっしゃいます。
当社も、新潟県の住宅専門設計会社オーブルデザイン様を真似させていただき、外壁材縦張りの時はクロス通気胴縁にすることがあります。
2:断熱効果
通気層を設けることで、外部の温度変化から内部を守り、断熱効果を高めます。
特に夏の暑い時期、通気層があれば、外壁材に当たった直射日光の熱がそのまま壁内に伝わり、室内に放出されることを軽減するクッションの役割も担います。
とはいえ、断熱の肝となるのは充填断熱や外張り付加断熱の部分ですから、そういった効果もある、という程度の役割です。
通気胴縁を用いた通気構法(通気工法)は現代日本建築において非常に重要な要素であり、壁体内の湿度低減や断熱性能の向上において大きな役割を担っています。長寿命で快適な住環境を実現するための基本的な構造となっています。
この通気構法、実は結構新しい工法で、昔のさむ~い日本家屋から断熱性能の向上を目指す途上でぶち当たった「壁」を克服するために編み出された、非常に大きな「発明」なんです!
下記でもう少し詳しく説明しますね!
現在の通気胴縁は改良された新在来木造構法
現在主流の通気工法と比べると、昔の在来工法は考え方がまるで真逆の考え方。
「家のつくりようは夏をもって旨とすべし」(吉田兼好の『徒然草』)の考え方を踏襲したのでしょうか、湿気が壁体内にこもらないよう壁などはいたるところ隙間を空け、そこに気流が生じることで冬の寒さの原因となっていました。
その在来工法の改良案を編み出したのが、現在の新住協代表理事であり室蘭工業大学名誉教授の鎌田紀彦氏。
鎌田氏は、日本の住宅が寒い原因と改良工法について、1984年の日本建築学会北海道支部で初めて発表されました。改良工法は「新在来木造構法」と名付けられ、瞬く間に北海道から東北、新潟、長野に広まり、現在では主流となる工法になっています。
従来の在来木造構法では、以下の図から分かるように壁の中に空洞があり、室内の暖かい空気と外から入り込んだ冷たい空気が混ざり合い、断熱材が効果を発揮しませんでした。
新在来木造構法では壁内の気流や天井裏に抜ける空気を遮断(気流止め)し、気流によって寒さを感じることをまず防ぎました。
そうすると今度は、室内で発生した湿気が壁体内に入り込み、その湿気が屋外の冷たい空気に触れて結露し、断熱材をぐしょぐしょに濡らしてしまう事象が発生します。
そこで、壁の中に湿気が溜まって結露しないように、軸組の外側に通気層を設ける工法を採用することを考案。これにより、断熱効果が高まって隙間風もなくなり、木材を湿気や腐敗から防げるようになりました。
この新在来木造構法は外気が壁内を通り抜けるのを防ぐ仕組みとなっており、冬は室内の暖かい空気を逃がしにくく、夏は外の暑い空気を防ぐため、「冬暖かく、夏涼しい」家づくりができるようになったのです!
通気層を設ける理由が、現代の暖かい家づくりの工法の発展と密接に関わっていることがご理解いただけたでしょうか?
<参照>https://shinjukyo.gr.jp/tech/shinzairai/
サイディングなら金属系がおすすめ!
今回のお宅にはアイジー工業のミルク色の金属サイディングを採用しております!
最近加わった新色で、柔らかなオフホワイトはどんな環境でも馴染みやすい商品かと思います。
近づいてよく見てみると、ランダムな横ボーダーのテクスチャーが入っていて、シンプルながらも個性が感じられる外壁です。
ちなみに、弊社ではサイディング系の外壁を採用する際は金属サイディングをおすすめしています!
一番の理由としては、耐久性が高く「凍害に強い!」ということが挙げられます。
アイジー工業は山形県で生まれた会社で、夏暑く冬寒い山形の地に寄り添った、高性能な商品ラインナップが魅力です。
他にも、窯業系サイディングより軽く、地震に強い特性を持つなど、いろいろなメリットがあります。
ここで外壁選びのワンポイントアドバイス!
上記の画像からも分かることなのですが、サイトやカタログなどでみる商品の色味と、実際に現場で見た時の色味が若干異なることが見て取れると思います。
周りの環境や天気、ライティングの違いなどで外壁材の色味は見え方が変わります!例えば、本件のお宅は周りが緑に囲まれた場所にあるため、若干外壁が青みがかって見えますし、天気が良い時は白さが際立ちます。
このように、外壁材は周りの環境で目に映る色味や雰囲気が変わって見えるので、外壁材のサンプルを実際に見て決めるのが良いかと思います。
特に、今回採用されたオフホワイトやグレーなどの中間色は、ライティングによる色味の見え方が変わりやすいので、サンプルを確認するときは室内の蛍光灯やLEDだけでなく、外の自然光でも確認していただくと、よりリアルな視点で比較検討ができると思います。